いま、GSX-RRの制作が進んでいますが、ちょっとした問題もありまして・・・・。
まずは告知です。

バイク模型のチェーンを自作するときに必要になる、ピッチ・スプロケットの基準円径・コマ数・軸間距離・下側のたるみをまとめて計算できるサイト、
「299 Chain Builder」
を公開しました。
299 Chain Builder
https://299-chain-builder.vercel.app/
ブラウザ上で無料で使用できます。インストールなどは必要ありません。
前後スプロケットの歯数や模型上の軸間距離を入力すると、偶数コマでチェーンが閉じるように計算し、CADへ入力する数値を小数点以下3桁で表示します。
計算結果はテキストでコピーできるほか、原寸SVGの保存と印刷にも対応しています。
かなり用途の限られたサイトですが、バイク模型でチェーンを自作する人にとっては、面倒な計算を少し減らせるのではないかと思います。
なぜこのサイトを作ったのか
制作中の1/12 GSX-RRでは、すでにチェーンも自作していました。
が、以前使っていたPCが故障し、保存していたCADデータも失われてしまい、GSX-RR制作の今後ために、再度チェーンを最初から作り直さなければなりません。
チェーン本体のモデリング自体、それほど難しい作業ではありません。ただし、実際に前後のスプロケットへ取り付けようとすると、いくつもの寸法を同時に合わせる必要があります。同じところで苦労している方もいるでしょう・・・
- チェーンのピッチ
- フロントスプロケットの歯数
- リアスプロケットの歯数
- 前後スプロケットの軸間距離
- スプロケットの基準円径
- チェーンの総コマ数
- 下側チェーンのたるみ
さらに、チェーンは偶数コマで構成する必要があります。
なにより最も大きな壁は「スケール換算した正規のピッチや本物の軸間距離を使っても、きれいに一周閉じるチェーンになるとは限らない」ということ。
コマ数を変更すれば長さが大きく変わり、ピッチを変更すればスプロケットの基準円径も変わります。下側にたるみを加えれば、その分だけ経路も長くなります。
これらを何度もCAD上で調整するのが、実に面倒。だったら、まとめて計算する専用ツールがあったらいいでしょう?
299 Chain Builderでできること
299 Chain Builderでは、最初にチェーンの規格と模型スケールを選択します。
現在は、次のチェーン系統に対応しています。
- 400系
- 500系
フロントスプロケットは二択で、
- 歯数から計算
- 模型の実測外径から換算
リアスプロケットの歯数と、模型上で測った前後スプロケットの軸間距離を入力。
下側チェーンについては、
- たるみなし
- 指定した膨らみ上限の範囲で自動調整
を選べます。
入力内容を変更すると計算結果は自動更新されます。
主に表示されるCAD用の数値は、次のとおりです。
- 採用コマ数
- 使用ピッチ
- フロント基準円径
- リア基準円径
- 下側調整円半径
- 下弦の膨らみ量
- 前後の接点座標
CADへ直接入力しやすいように、最終的な寸法は小数点以下3桁で表示しています。
GSX-RRのチェーンを実際に再制作
今回、実際の確認を兼ねて、データを失ったGSX-RRのチェーンを再制作しました。
入力した条件は次のとおり。実車から憶測です。
- チェーン:500系
- スケール:1/12
- フロントスプロケット:16T
- リアスプロケット:45T
- 軸間距離:60.5mm(これは模型実測)
- 下側経路:たるみなし
計算結果は、
- 124コマ
- 62セット
となりました。

が、模型の実寸ではフロントが16Tでは大きすぎて使えないので・・・・15Tへ変更。リアも大き過ぎになるので42Tに歯数を減らしました。
最終的に採用した条件は、フロント15T、リア42T、軸間距離60.5mm。計算結果は122コマ(61セット)です。
それでもタミヤさんのより大きいんですけどね。その辺りは模型の実寸に合わせて調整できるのが良いところです。

ちょっと大きめです。基準寸法が決まればCADに落とすだけです。

もう あっという間です。チェーンを配置したところ、最終接続部の差は約0.09mm。
実際は途中で私自身の入力ミスがあり、一度寸法が合わない事態に。普段なら試行錯誤で難航するところが、「計算結果は正しいはずだ」と。疑うのは作業ミスだけなので発見も早い。修正したあとは61セット(122コマ)で問題なく一周できました。
0.09mm程度、模型用途では十分に無視できます。
これまでのように、コマ数を増減しながら何度も配置をやり直す必要がなくなり、なにより作業が早い。(ソリッドワークスはチェーンコマを半自動で基準ラインにあわせて並べられるので早いのもあります。その辺りはCADしだいですが数値さえあれば、かなりの時短が期待できます。)
原寸SVGと印刷にも対応
299 Chain Builderでは、計算したチェーン中心経路を原寸SVGとして保存できます。
SVGには10mmの確認線も入っているため、CADへ読み込んだあとや印刷したあとに、寸法が正しく維持されているか確認できます。
また、計算結果の数値をテキストでコピーする機能も付けています。
たとえば、作業記録として次のような内容を保存できます。
- 使用したチェーン規格
- スケール
- 使用ピッチ
- 前後スプロケットの歯数
- 基準円径
- 軸間距離
- コマ数
- 下側円弧半径
- 接点座標
同じ模型を後から修正するときや、PCの故障など(したくないけれど)で再制作すること(もっとしたくない)になった場合にも、数値だけ残しておけば復旧しやすくなります。
その重要性を身をもって知りました(やっぱり知りたくない・・・)。
使用時の注意(お約束です)
299 Chain Builderは、模型用チェーンを作図するための支援ツールです。
計算結果を使えば、すべてのCADソフトやチェーン部品で完全に誤差なく接続できることを保証するものではありません。
CADソフトの拘束方法や、使用するチェーン部品の基準点、部品の組み方によっては、最終接続部に調整が必要になる場合があります。
また、スプロケットの歯形やチェーンとの実際の噛み合い、周辺部品との干渉については、最終的にCAD上で確認してください。
かなり用途の限られたサイトですが
299 Chain Builderは、バイク模型を作る人の中でも、さらにチェーンを自作しようという人向けのサイトです。
必要のない人にとっては、本当に使い道のないサイトだと思います。
ただ、実際にチェーンを自作しようとすると、ピッチ・コマ数・スプロケット径・軸間距離を同時に合わせる作業は意外に面倒。
私自身がその作業が面倒だった大変なため、自分で使う道具として作りました。
同じような作業をしている人がいれば、何かの役に立つかもしれません。
299 Chain Builder
https://299-chain-builder.vercel.app/
今後も実際の制作で使用しながら、必要な修正や機能追加を行っていく予定です。

チェーンのピッチや形状調整が済めば、あとは楽・・・とは言いませんけど気分は楽。
関連する制作記録やツールは「299 WORKS」にまとめています。
シリーズ記事のまとめページができました。興味のある方はどうぞ

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